2022.08.24

多く見逃しがちな助成金申請、その対応策とは?

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中小企業は、大企業と比べると予算に限りはありますが、さまざまな制度を利用することで、設備投資や人材育成を行う際に、助成金や補助金を受け取ることが可能になります。

中小企業の助成金利用率は高くない

中小企業は、大企業と比べると予算が少ない場合が多く、設備や人材に投資できる額はどうしても限られます。そのため、古い機器を使い続けたり、従業員が新たなスキルを習得するための研修を見送っている中小企業も多いかもしれません。

こうした時に頼りになるのが、「助成金」(補助金)の存在です。国や自治体は、中小企業を支援する助成金制度を多数実施しており、中小企業庁のホームページでも多数の助成金の情報が掲載されています。

とはいえ、多くの中小企業は、こうした助成金の情報を知らないようです。経済産業省が公開している「平成29年度 中小企業者における中小企業施策の認知度及び利用度の向上に向けた課題と広報のあり方に関するニーズ調査報告書」(※)という資料によると、「国・都道府県・市町村などが交付する補助金・助成金」に対する認知度は、調査対象となった中小企業のうち46.8%と、過半数を割る数値となりました。

(※)経済産業省「平成29年度 中小企業者における中小企業施策の認知度及び利用度の向上に向けた課題と広報のあり方に関するニーズ調査報告書

経済産業省や中小企業庁も助成金・補助金の情報を広めてはいますが、そもそも同省庁の広報活動の認知度がそれほど高くないようです。中小企業者における広報ツール・コンテンツの認知度調査によれば、41.6%が広報ツールを「どれも知らない」と回答。認知されているツールであるホームページ(29.9%)やパンフレット/チラシ(27.3%)、メールマガジン(10.4%)やTwitter/Facebook(5.2%/6.5%)の数字を上回る結果となってしまっています。

経済産業省「平成29年度 中小企業者における中小企業施策の認知度及び利用度の向上に向けた課題と広報のあり方に関するニーズ調査報告書」

(※)経済産業省「平成29年度 中小企業者における中小企業施策の認知度及び利用度の向上に向けた課題と広報のあり方に関するニーズ調査報告書

せっかくの中小企業のための制度が、肝心の中小企業の関係者に届いていないという、喜ばしくない事態となっているようです。

さらに助成金は募集期間が限られており、応募が多かった場合には応募の受付を早めに終了するケースもあります。「知らなかった、間に合わなかった」という事態を避けるためにも、定期的に最新の情報を収集しておくことが求められます。

テレワーク導入に取り組むことで貰える助成金がある

助成金・補助金にはさまざまな種類がありますが、その多くは、設備投資や人材育成など、新たなことにチャレンジする際の費用の一部を負担するというものです。今回はその中からいくつか紹介します。

① IT導入補助金

まず「設備投資」という観点では、ITツールを導入する経費の一部を補助する「IT導入補助金」というものがあります。一般社団法人サービスデザイン推進協議会が事務局業務を行っています。ここでいうITツールとは、「労働生産性の向上に資するITツール」のことで、会計/受発注/決済/ECに関係するソフトウェア/クラウドの導入費・利用料、およびPCやタブレットなどのハードウェアの購入費用が対象です。補助金額は30万円~450万円となっています。

② 人材確保等支援助成金(テレワークコース)

厚生労働省では、「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」という、テレワークに取り組む企業に対する助成金も行っています。この制度では、助成対象の条件として、リモートデスクトップサービスやWeb会議ツール、セキュリティサービスといったテレワーク用通信機器の導入・運用が条件として含まれています。助成額は支給対象となった経費の30%で、上限額は100万円となっています。

③ デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業費補助金

日本国内から海外へ向け通販を行う「越境EC」を支援する「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業費補助金」という補助金制度も生まれています。

この補助金は、輸出販路が弱く、十分に海外需要を取り込めていない中小企業者が、越境ECのためにブランディング、プロモーションの取り組みを行う場合、その際に発生した通訳・翻訳費用、設計・デザイン費などを、1社あたり200~500万円補助するというもの。越境ECサイトを自社で構築するための費用も、補助の対象となります。

人材を育てながら貰える助成金がある

「人材育成」という観点からも、いくつかの助成金・補助金制度が用意されています。

① 人材開発支援助成金

まずは、厚生労働省が行っている「人材開発支援助成金」です。これは、従業員のキャリア形成を促進するため、職務に関連した専門的な知識や技能が修得できる職業訓練を実施したり、教育訓練休暇制度を適用した事業主に対し、助成金が付与される制度です。

人材開発支援助成金には全部で8つのコースが用意されており、助成額や支給要件も、コースごとに大きく異なります。

② キャリアアップ助成金

同じく厚生労働省が行っている助成金として、「キャリアアップ助成金」という制度もあります。これは有期雇用労働者など非正規雇用の従業員を正社員化するなど、従業員の処遇を改善した企業に対し、助成金を付与するものです。こちらもコースが複数用意されており、「正社員化コース」で有期雇用から正規雇用に転換した場合、1人当たり57万円が支給されます。

② キャリアアップ助成金 イメージ

効率良く助成金を受けるためのツールが存在する

今回は主に各省庁やその外郭団体が行っている助成金を中心に取り上げましたが、このほかにも都道府県や市区町村が助成金を行っているケースもあります。定期的に最新の情報を収集しておくことがベストではありますが、中小企業がすべての制度を把握するのは至難の業といえるでしょう。

さらにいえば、すべての助成金には申込み期限があり、タイミングを逃してしまえば、申請することすらできません。場合によっては、応募が多数集まったことで、募集を予定より早く終えてしまうこともあります。さらにいえば、申請のためには要件を満たしているか否かを判断するために書類や手続きが必要になるため、準備のための手間もかかります。

最近では、こうした面倒な手続きを省くために、助成金の申請をサポートするデジタルツールも登場しています。こうしたツールを使うことで、たとえ助成金の活用ができていない企業でも申請ができるようになり、資金に余裕を持ちながら、設備や人材に投資ができるようになるでしょう。

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